《2013年1月21日、ジャパンエフエムネットワークのラジオ番組の電話インタビューコーナー「オー ハッピー スタイル」で、梶川伸・「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会副会長が、お遍路さん現状とヘンロ小屋プロジェクトについて語りました。◇◆はFMラジオのパーソナリティー。◇女性パーソナリティー、◆は男性パーソナリティー。「梶川」は梶川伸・「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会副会長》
◇今日は四国八十八カ所巡り、お遍路がテーマで、みなさん行かれた方もあると思うんですけど、今ちょっとブームになっているようなんです。特に若い方や女性が増えているそうです。
◆お遍路さんが?
◇そうなんです。このブームを後押ししているのが「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」です。各地域の風土や観光、特産などをモチーフにして設計されたおしゃれな小屋が登場しているそうなんです。今日はそのプロジェクトに携わっている方に詳しくお話をうかがっていきたいと思います。「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会副会長の梶川伸さんです。梶川さんおはようございます。
梶川 おはようございます。
◆よろしくお願いします。
梶川 よろしくお願いします。
◆ヘンロ小屋というのは、もともとあったんですか。
梶川 お遍路さんをおもてなしするような休憩所はちょこちょこはあったんです。しかし、歩いてゆくと1200キロあるんです。そうすると、少しあっても、もっと休みたいなあと思う人が多いんです。じゃあ、もっと造ってみようか、というのが僕たちの会なんです。
◆新たに立ち上がったヘンロ小屋というのがたくさんできてきたということなんですか?
梶川 そうですね。2001年に私たちのヘンロ小屋の第1号が徳島県にできましてね、これまでに45棟まできました。
◆ホームページを見てみたんですけど、デザインもなかなか面白いですねえ。
梶川 歌一洋という建築家がいましてね、この人が中心になっているんですが、徳島県出身なんですよ。建築家として軌道にも乗ってきたので、何か恩返しをしたいと考えたのが初めなんです。
◆大きさでいうとどうでしょうね、ちょっとしたお茶屋という感じじゃないですか。
梶川 あずま屋のような簡単なものです。
◆中にテーブルがあって、椅子が置いてあって、屋根があって、雨風をしのぐにはいいかなって思うんですが。
梶川 屋根がついていて、回りに雨風を防ぐものがあって、椅子があってというのが基本形ですね。
◆冒頭でお伝えした若い女性がお遍路さんで巡るのが増えている、という話があるのですが、実際にそのようにお感じになりますか。
梶川 お遍路さんにはいろんな回り方があるんですが、特に歩いている人たち、ここは若い人が増えていると思うんです。年間ざっと4000人くらい歩いて回っていると思うんですが、2割から2割5分は20代、10代の人ではなかなあという気がしますねえ。
◆どんな思いで周られる方が多いんですかねえ。
梶川 若い人に限らずに言うと、1番多いのは自分の見つめ直しじゃないですかねえ。それから、最近のブームの健康志向で歩いてみよう、ですかね。また、結構深刻なものを抱えてする人も多くて、身内の方の供養だとか、自分自身の病気、例えばがんであるとか、それを何とかしたいなあ、と思っている人。そんな風に分かれていると思いますね。
◆四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクトというのは、これからも新しい小屋を造っていく予定があるんですか?
梶川 あるんです。四国八十八カ所にちなんで88ではなくて、もう1つの89棟まで。僕たちはボランティアでやっていますから、その集大成として89棟目を造って終わりたいなあ、と思っているんですが、10年ちょっとでまだ半分なんですよね。
◆ボランティアですから、なかなかスムーズにいかないこともありますよね。
梶川 1番ネックになっているのは、土地を貸してもらうことです。探すのが大変なんです。土地というのは自分のもので、貸してもらえませんか、といっても、なかなか難しいですよね。
◆このプロジェクトが浸透していけば、理解も進むとは思うんですが。ヘンロ小屋というのは、見ず知らずの人が集まってきて、お茶とかするわけじゃないですか。どんな利用方法なんですか?
梶川 1番多いのは、ともかく足を休めたい、ですね。ヘンロ小屋には地元の方々が例えばお菓子だとか、お茶だとか、置いてくださっているところも結構あるんです。お接待というんですが、それをいただく。あるいは若い人たちはお金を節約するために宿を取らなくて、じゃあ、ここで寝袋で寝ちゃおうか、ということも結構あります。
◆なるほど、造りがしっかりしていることを考えると、ここにシュラフを持ち込んで。寝てもいいんですか、ここで。
梶川 どうぞ寝てください、とは言ってはいませんが、椅子も結構長いものがついてますし、寝ることはできます。活用していただいている方は多いです。
◆遍路をする方だったら、ということでしょうけどねえ。これからお遍路をしたいという方もいると思うんです。梶川さんから注意点だとか、何かお伝えしたことはありますか。
梶川 1度行ってみてほしいなあ、と思うんです。それはなぜかというと、日本の戦後を支えてきたような考え方と全く逆のものがあるような気がします。例えば戦後を支えてきた大きな思想の1つに、効率ということがあります。お遍路さんは、特に歩いていれば全く効率的ではないですよね。それから、安心だとか安全だとか、最近キーワードになっていますよね。山の中に入っていけば、あんまり安全でもないし、危険な場所も少しあったりするんです。雨が降ってくれば不快ですしね。でも歩いている、回っているといことで、見つめ直しということにうまくシンクロするといいますかね、そんなことがあるような気がします。
◆自分たちが本来の流れを体感するということでしょうか。
梶川 何か最近、世の中これでいいのかなあ、って思う方がいるんだと思うんです。そんな時に行ってみると、こんな世界があるんだと感じるでしょう。僕の言い方で言うと、「遍路道の周りには心の共同体」があると思うんです。
◆梶川さん 生放送で、時間がきてしまいました。詳しい情報はホームページをのぞいていただければ、と思います。