丸亀市でヘンロ小屋プロジェクト交流を開催

 一般社団法人(非営利)四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクトは3月15日午後1時から、香川県丸亀市大手町2ー4、丸亀市市民交流センター・マルタスのルーム3・4で、活動を知っていただくための交流会を開きました。メインは「遍路、遍路文化、お接待の継承」をテーマにした講演とシンポジウムで、約20人が集まり、意見を交換しました。
「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会は2024年まで毎年1回、総会を開いて会の活動・会計をしてきました。同時に、講演会やシンポジウムを行いました。大阪と四国4県を順番に会場としていました。

支援する会は2024年10月に、一般社団法人に改組したことに伴い、総会として開いていたものを、交流会に変更しました。一般社団法人は法律、定款によって社員総会が義務けられています。社員総会は議決権のある人の議決機関で、プロジェクトは1月に開いて、会計収支、活動実績、活動計画を可決しています。

総会という名称では、社員総会と勘違いする方がいるかもしれないので、今回から自由参加の「交流会」としました。交流会としては1回目、支援する総会から数えると18回目の集まりでした、

 交流会はプロジェクトの簡単な活動・会計報告から始まりました。支援する会は2024年9月30日で活動を終了し、その時点の資金残高は189万1739円で、全額をプロジェクトに移しました。プロジェクトの会計年度は1月〜12月ですが、初年度は変則で10月〜12月でした。12月末の残高は124万6846円でした。このことを、プロジェクトの理事が報告。また、活動実績として徳島県海陽町にヘンロ小屋59号鯖瀬を建築したこと、活動計画として新たに徳島県、愛媛県で小屋の計画んあることも報告しました。

続いて当会代表理事の歌一洋が講演しました。香川県内のヘンロ小屋について、設計趣旨を説明。さらに今回のテーマに関して、「子どもたちにも小屋造りに参加してほしい」「長い年月を経て傷んだ小屋があり、修復を進めて?いる」と延べ、さらに「小屋の建設用地を見つけるこが難航している」とし、情報提供をお願いしました。

 締めくくりはシンポジウム。パネリストは▽宮崎史郎さん(ヘンロ小屋53号茶処みとよ高瀬=香川県三豊市=の建設とお接待を推進▽原真由美・徳島県阿南市立山口小学校教諭(ヘンロ小屋3号阿瀬比を教材に総合的な学習の授業)▽坂田洋子さん(歩き遍路とスペインの巡礼の道経験者)▽歌一洋で、司会は亀山啓司・プロジェクト香川支部長が務めました。

亀山は活動の前提として、環境の輪、社会の輪、経済の輪の三重構造を強調するとともに、「地域との関係が大事」と訴えました。また、「プロジェクトや会員の活動が鈍くなっている」と問題提起をしました。

宮崎さんは、ヘンロ小屋茶処みとよ高瀬でのお接待の現状を報告。お遍路さんへのもてなしは地元グループ「おせっ隊」が日を決めて行ってきたと説明し、「一代目から二代目のグループになったが、年齢のこともあって活動を停止し、三代目が出てこない」と、継続の難しさを訴えました。個人的には「お遍路さんを見かけると、小屋で休んでいくように声をかけている」と、細々とした活動を話しました。

 坂田さんはまず、歩き遍路の経験を話しました。なかでも印象に残っているのはお接待で、「ヘンロ小屋で寝ていると、『寒いでしょう』言って、毛布を持ってきてくれた人がいた」「子どもたちが書いたメッセージにも励まされた」と具体例を出しました。スペインの巡礼の道を歩いた印象については「統一した標識がある。次の拠点までの距離や所要時間、高低差がわかるアプリがある。荷物を安い値段で運んでくれるサービスがある」など、遍路は異なる点を私的しました。しかし、2つの道を比べたうえで、「1番心に刺さるんはお接待」としました。

 原さんは2024年度の5年生の総合学習の時間で、ヘンロ小屋阿瀬比と遍路をテーマにしました。しかし、小屋は校区の外れにあるため、お遍路さんに出会うことはほとんどなく、「児童たちは最初、自分たちの生活と何か関係ががあるのか、といったとらえだった」そうです。10年前に韓国人のお遍路さんに対する誹謗中傷が問題になった際、当時の山口小学校の児童たちが心を傷め、「お遍路さんはみんな同じ」との考えから、小屋の前に日本語、英語、中国語、ハングルで書いた道標を立てたことことがあります。原さんは「授業の中でそのことを知り、小屋に出かけたり、遍路道の一部を歩いたりするうち、児童たちは自分たちにできることを考えるようになった」と語りました。実際には「しおり作ってって小屋に置き、掃除もした」と、児童の変り方に述べました。しめ縄も作って飾り、これは地域の人に教えてもらったそうです。

 児童たちの変わり方は、それだけではありません。「総合的な学習についての発表会用に、資料をタブレットを使って自分たちで制作し、劇まで作った」とし、結論は「子どもたちは関心を持つと、自主的に動く」でした。

 原さんについてきた小学校3年生の息子さんも飛び入り参加し、「外国人のお遍路さんに会った。道に迷っているようだった。パンフレットを作ってあげたい」と、可愛い発表をしました。シンポは熱を帯び、1時間半を超えました。





↑シンポジウムの様子

 


↑歌一洋の講演

 


↑交流会の様子

 


↑シンポジウムの様子

 
 



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