第5回総会

 「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援する会は3月20日(日)午後1時から、松山市湊町7−5、松山市総合コミュニティセンターの第6、第7会議室で、第5回総会と記念シンポジウムを開きました。
 総会ではまず、梶川伸・副会長が2010年度の活動について、ヘンロ小屋は39号NASA、40号日和佐、41号今治・日高の3棟が完成したことを報告しました。このうち、NASAの建設費は、支援する会の会費とプロジェクトへの寄付金をあてたことを説明しました。そのほか、高知県の大月遍路道の整備、徳島県の由岐坂遍路道周辺の不法投棄されたごみの撤去の取り組みに参加したことも報告しました。
 また、2010年度の会計報告も行いました。会員は349人で、一般勘定は会費などの収入が174万4420円、支出が193万7730円で、前年度から繰越金を含めると、2011年度への繰越金は74万9255円です。直接ヘンロ小屋建設にあてる資金を建設勘定として別立てにしていて、NASAへの建設費として120万840円を支出しましたが、一般勘定からの振り替えなどで、2011年度への繰越金は89万9313円です。
 総会の後、愛媛支部主催の記念シンポジウムに移りました。最初に村上敬支部長があいさつに立ち、亡くなった遍路道保存協力会の宮崎建樹さんと、東日本大震災の犠牲者のために黙祷を捧げました。宮崎さんは支援する会の発起人の1人で、村上支部長は宮崎さんが行方不明になる10日ほど前に会い、総会であいさつをしてもらう約束をしていたことを明かしました。
 支部長のあいさつに続き、プロジェクトの主宰者で建築家の歌一洋・近畿大学教授が、完成した41棟のヘンロ小屋の映像を示しながら、愛媛県内の小屋を中心に、設計の狙いや思いを語りました。
 最後は「ヘンロ小屋とお接待」をテーマにしたシンポジウムを行いました。パネリストは徳田登子夫さん(遍路休憩所神南堂主)、丸尾瞳さん(ヘンロ小屋16号宇和でお接待)、渡辺浩二さん(ヘンロ小屋34号久万高原の建設で尽力)、八石玉秀さん(愛媛県内で3棟の小屋建設をした愛媛信用金庫の常務)。それに歌教授が加わり、司会は梶川副会長が努めました。徳田さんは、休憩所を訪れた不登校だった少年との心の触れ合いを語り、言葉の通じない外国人遍路への身振り手振りの交流にも言及し、お接待によって世界に知り合いができた嬉しさを話しました。
 丸尾さんは、勤め先のレストランの敷地にあるヘンロ小屋でのお接待の実話を披露。レストランのスタッフの1人が若いお遍路さんにおにぎりのお接待ををすると、お遍路さんが涙を浮かべ、それにつられてスタッフも感情が高まり、2人で抱き合って泣いたそうです。スタッフはそのことを「真珠の涙」という報告書にまとめ、レストランの中では「ひとに幸せを与えられる人が1番幸せ」という言葉が出たといいます。
 シンポジウムを聴講したのは約70人。当初は50席ほどを準備していましたが、大幅に足りず、予備のいすを入れたので、会場は満員でした。丸尾さんらの話に涙を浮かべる人もいました。
 21日は歌教授と支援する会の役員が宮崎さん宅を弔問し、仏壇に線香をあげ、般若心経を唱えて、ご冥福を祈りました。
 コミュニティセンターのロビーでは、愛媛支部が歌一洋「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト展」を24日まで開きました。小屋の模型、写真などを展示し、たくさんの人が来場しました。(梶川伸)




      シンポジウムでは約70人が話に耳を傾けました↑


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