ヘンロ小屋プロジェクトが四国建築賞

 四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクトが、第1回四国建築賞の業績賞を受賞しました。表彰式は5月16日に、徳島県であります。
 この賞は、日本建築家協会四国支部が設けたもので、四国支部の四国建築賞設立委員会から通知が届きました。文化賞はほかに、「木造建築物の部及び木造建造物の部」があり、2つのグループが受賞しました。講評は次の通りです。
   四国遍路という巡礼の構図の中に、現代的に解釈されたお堂を地域で入手できる素材と地域のデザインモチーフで展開している現代版茶堂であるといえる。公的なものでも私的なものでもないこの建築は、同行二人といわれるように、巡礼者を媒体としてお大師さんに願いを託す場でもあり、巡礼者と札所周辺の地域とのコミュニティーの場でもある。いわゆるお接待、もてなしの文化である。建築に携わる物にとって、歴史的に見ても1200年以上続く宗教的慣習に、また札所周辺の風土とどう向き会うか、建築という形で示したものである。四国建築文化賞の業績として、国内でも例を見ない継続的な取り組みは特質しているといえる。
 一方で講評は、「このプロジェクトの今後であるが、ヘンロ小屋のメンテナンスが丁寧になされないと、痛んだヘンロ小屋の惨めな風景を巡礼地および巡礼者にさらすことになり、現在とは逆の心象を巡礼者に引き起こしかねない。その意味でもこれからの長期的な視点をもってこのプロジェクトの今後にも期待したい」と指摘しています。
 このことは、プロジェクトと支援する会、大きな課題と考えている点で、何度か議論を重ねながらも、継続的な方向性が十分に定まったとはいえない現状があります。外部からも同じ視線があることで、なお一層、議論を進めることが求められているといえます。
 講評に出てくる茶堂は、青年が一緒に泊まる建物で泊まり屋とも呼ばれます。高知県、愛媛県などに集中的に見ることができます。ヘンロ小屋10号・宿毛(高知県宿毛市)は、宿毛市にある「浜田の泊まり屋」をモデルにしています。

↑ヘンロ小屋10号・宿毛は泊まり屋をよみがえらせた


↑浜田の泊まり屋

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