◆ちょっと歩き四国遍路・のんびり逆打ち第3回の案内◆
2016年3月4日(金)〜5日(土)=3万3800円
75番・善通寺〜66番雲辺寺
宿泊は空海が生まれたとされる善通寺です。宿坊は温泉で、朝はお勤めに参加します。66番雲辺寺は札所の中で最も高い場所にある寺です。参拝のほか、寛永通宝の砂絵のある琴弾公園、豊稔池を訪ねます。昼食は、香川名物の骨付鶏とさぬきうどんを用意しています。 問い合わせは毎日新聞旅行06−6346−8800
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◆第3回(75番・善通寺〜66番・雲辺寺)
=2016年3月4日〜5日
毎日新旅行の遍路旅シリーズ「ちょっと歩き四国遍路・のんびり逆打ち」の第3回で、参加者は前回同様11人の少数だった。会社としては少人数で苦しいだろうが、参加者は気心が知れた者同士の楽しさがあって、和気あいあいの遍路だった。天気には恵まれた。しかし、気温差の大きい2日間だった。
【昼食】
3月にはなったが、朝は冷え込む。家を出る時は、ヒートテックのシャツ、首のあるTシャツ、厚めの作務衣だった。バスに乗ってしまえば、寒さはなく、昼間は暖房はいらないほどだった。
今回のお参りは香川県の西部なので、瀬戸大橋経由で四国に入った。天気はいいので、青い瀬戸内海を期待したのだが、なぜかもやがかかったようになっていて、視界が悪く、残念だった。
昼食は丸亀市、一鶴の骨付き鳥。遍路旅の毎シリーズで、必ずコースに入れる。香辛料と塩をきかした鶏の骨付きのもも肉を焼いたもので、なかなかインパクトがある。ただ、鶏が嫌いな人は結構いる。だから普通のバスツアーではなかなか組み込みにくい。しかし、この遍路のコンセプトは、しっかりとお参りをしたうえで、四国の良い所を体感してもらい、地元の食べ物を食べるというもの。だから、あえて、一鶴も組み込む。
現実は参加者の1人が、鶏を食べたことがないという。骨付き鳥以外にはほとんどメニューがない店なので、豆腐など酒のつまみのようなおかずでおにぎりを食べてもらい、気の毒だった。
私を含め、ほかの人は鶏に骨付き鳥にかぶりつき、キャベツとおにぎりを、鳥から出た油につけて食べた。塩分が気になるが、骨付き鳥の魅力の方が勝っていた。
↑一鶴の骨付き鳥
【75番・善通寺】
逆打ちなので、今回の参拝は75番・善通寺から。この日は善通寺の宿坊に泊まるため、順番を入れ替えて夕方に参ってもいいにだが、逆打ちの原則に従った
善通寺は境内が広い。東西の伽藍に分かれ、間には道路が通っている。まず金堂(本堂)へ。大きな薬師如来の前で般若心経を唱える。如来は舟形光背を持ち、光背には仏像がデザインされている。
太陽が出て、暖かくなってきた。五重塔を見上げる。京都の東寺、奈良の興福寺の五重塔に次ぐ高さの塔で、どっしりとしているが、バランスがとれて姿がいい。巨大なクスノキ、五百羅漢を見る。参加者の1人が五百羅漢を見ながら、「お父さんに似た羅漢を探しなさい、と言われた」と話していた。
大師堂に行くには、細い道路を横断する。その道路沿いに熊岡菓子店がある。固いせんべい「固パン」が名物。家族に頼まれている人もいて、みんなで店に寄った。私はエビせんせんべいを買った。100グラム200円。200グラムを頼むと、店の女性がガラスのふたを開け、平べったい容器からスコップですくい、はかりにかけてくれた。夕食の後、何人かが私の部屋に集まって話すのが恒例になっている。その時のつまみができた。
↑善通寺の五重塔
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【74番・甲山寺】
善通寺からバスで3分ほどで着く。境内はあまり広くない。山門をくぐって手水へ行き、次に中門を通る。本堂の近くにツバキの木があり、赤い花をつけていた。ツバキ越しに、修行大師像の写真を撮る。この寺ではほかの団体バスも来ていて、そのグループの後をついて回るような参拝だった。
大師堂の横に毘沙門堂があり、洞窟の中に造ってある。空海が石で毘沙門天像を彫って安置したのがこの寺の始まりという。空海が満濃池修築の別当となり、洞窟で修法をすると、数万人が工事に駆けつけたという言い伝えもある。毘沙門堂はそれらの言い伝えにちなんでいる。
↑甲山寺の本堂
【73番・出釈迦寺】
ここも甲山寺からは近い。バスの駐車場から歩いて行くと、参道に干支にちなむ石仏が並んでいる。まだ新しい。ハッサクを置いている無人の販売所がある。それらを見ながら境内に入る。ここでも、ほかの団体と一緒になり、本堂と大師堂に分かれてお参りをした。
この寺の裏は捨身ヶ嶽。若き空海が仏道を志し、自分が必要な人間なら飛び降りても救ってもらえると、身を投じた山だという。空海は天女に抱きかかえられた。伝えられている、その山を参加者で眺めて、次の寺に向かう。
↑出釈迦寺から捨身ヶ嶽を望む
【72番・曼荼羅寺】
曼荼羅寺までは歩いて行く。それでも10分もかからない。畑が広がり、緩い下り坂をノンビリと下りていく。曼荼羅寺の横にあった遍路宿は取り壊され、駐車場に変わっている。
この寺の名物は、背が低く横に広がった松だった。私が最初に遍路で参拝した時(1997年)は、まだ元気だったが、やがて枯れてしまい、今は枯れた木で作った「笠松大師」がまつってある。
境内では、無人でハッサクを売っている。山門のそばには梅が咲き残っていた。大師堂の横では、ヒマラヤユキノシタが花をつけていた。
↑笠松大師
【71番・弥谷寺】
バスで弥谷寺へ移動する。途中で鳥坂峠を通る。その頂上部の交差点を曲がるのだが、そこに名物の鳥坂まんじゅうがある。歩き遍路では通らないので、バス遍路ならではの楽しみ。ここを通る際には、必ずバスを停めて、まんじゅうを買う。店の中に入ると、奥の方でまんじゅうを蒸す湯気が上がっている。小さなまんじゅうで、15個500円、30個1000円だから買いやすい。
ふれあいパーク三間の駐車場にバスを止める。ここから弥谷寺へは15分ほど山道を登る。みんなでストレッチ体操をしてから出発した。長い距離ではないのだが、上りばかりなので汗が出てくる。朝の寒さとは、えらい違いになった。
参道にはヤブツバキが咲いている。白いサザンカも花をつけている。花を見ながら歩くが、階段が多いので、結構しんどい。標高は200メートルほどにすぎないのだが。
↑鳥坂まんじゅう
↑弥谷寺
【善通寺宿坊】
夜は善通寺の宿坊に泊まった。ここでも三十数人の団体と一緒で、春の遍路シーズンの到来を知る。夕食は午後6時からが普通だが、三十数人のグループと一緒になるのを避けて、午後6時半からにした。料理は鶏やハクサイ、キノコの入ったうどん鍋、ゴマ豆腐、サワラのみそ煮、魚、ニンジン、サトイモ、ブロッコリーの煮物、干し大根の酢の物などだった。参加者の1人が、ワカメの茎のつくだ煮を作って持ってきてくれた。みんなに回して、おいしくいただいた。
宿坊のハイライトは朝のお勤めだろう。午前6時から御影堂であった。この期間はまだ冷える。ヒートテックの下着も着込み、暖かい身支度でお勤めに参列した。堂の中は暗い。ぼんぼり型のあかりがともり、天井からは灯ろうの火が淡く照らしている。外とを隔てる障子は、夜が明けていくにしたがって白く明るくなっていく。その一方で、時間がたつにつれて背中が冷えてくる。
読経の前に、樫原禅澄館長の法話があった。うるう年の逆打ちのことに触れ、「逆打ちのような特別のことをする時には、特別なことをしなければいけない。例えば酒やたばこを断つとか。遍路の最中を携帯電話でしょっちゅう家に連絡している人がいるが、携帯を使わないだとか」。わかりやすい話だったが、酒やたぼこは私のことを見透かして言っているのかと思ってしまった。前夜も夕食の後、何人かで私の部屋で、エビせんをあてにして、善通寺の金堂と御影堂の間にある酒屋で買ってきた日本酒を飲んでいたからだ。
お勤めの後、戒壇巡りをした。これも恒例となっている。その後で朝食を食べて出発した。天気がいい。
↑善通寺の宿坊の夕食
↑参加者からのお接待の茎ワカメのつくだ煮
【70番・本山寺】
本山寺に参拝すると、スズメがにぎやかだった。五重塔は修築工事中で、周りに足場が組まれ、塔を見ることができずに残念だった。塔を解体したことから、相輪と宝珠、風鐸が展示してあった。間近で見る機会がないものなので、これは得をした。
↑展示されていた相輪と宝珠
↑修築中の五重塔
【69番観音・観音寺、68番・神恵院】
観音寺と神恵院は同じ境内に並んでいる。仁王門をくぐると、千羽鶴がたくさんつるしてあった。色がなくなっている仁王と鮮やかな色紙の対比がおもしろい。天気が本格的に良くなり、暖かさが増してきた。今度は、風が心地よく感じる。
境内の真ん中に大きなクスノキ。根が土から出て広がっていて、いるもこの木の力を感じる。の木の根の異様な形を手前に引っ掛けて、観音寺の本堂を移す。本堂と大師堂の間に石段があって、その上に薬師堂がある。その石段と堂の組み合わせも美しい。
神恵院の本堂は、コンクリート打ちっ放しの建物の石段を登っていく。帰りは階段を使わず、庭を見ながら下りて行った。サツキの刈り込みが庭を形作っている。もちろん、この時期は花がないが、手入れは行き届いているように思う。大師堂で般若心経を唱えていると、カラスがにぎやかに鳴いていた。
↑仁王門の千羽鶴
↑クスノキと観音寺の本堂
↑神恵院本堂への階段
庭 ↑神恵院の手入れされている庭
【琴弾公園】
寺から5〜6分歩いて坂道を上ると、琴弾公園を上から見る展望台に出る。公園には直径100メートルもある寛永通宝の砂絵がある。それを眺めるのだが、前日同様、天気はいいのに視界がよくない。海の色もよくなかった。砂絵がぼんやりしていた。
少し時間があったので、今度は山を下りて砂絵の砂浜に行ってみた。松林の中を歩いて行く。風のせいか、枝がうねっている。砂絵に着くと、大きすぎて寛永通宝の絵はわからない。砂絵を一周し、海を眺めてバスに戻った。
↑そばから見た砂絵
【昼食】
ちょっと早いが、後の行程のこともあり、昼食は寺から近いうどん屋「かなくま餅福田」を選んだ。店名からもわかるように元は餅屋だった。
ここの名物は餡(あん)餅うどん。讃岐を正月の雑煮は、白みそと餡餅の組み合わせで、それにヒントを得たのかもしれない。いわゆる「力うどん」の餅が、餡餅に変わっていると思えばいい。つゆはイリコ中心のだし。餅は本職だからおいしく、餡は甘味を抑えてあるから、違和感はない。それに干しエビのおこわ、おでん2本。満腹になってしまった。
↑餡餅うどん
【67番・大興寺】
大興寺は山門をくぐって、石段を上る。登り口に樹齢1200年のカヤと大きなクスノキがそびえている。本堂と大師堂には、ナノハナが備えてあった。ナノハナは境内の仏像の前にも。冬の花のツバキと、春の花のジンチョウゲ、アシビが境内を彩っていた。金魚の泳ぐ池がある。フクロウを飼っている。楽しい寺でもあった。
↑ナノハナが備えてあった
↑樹齢1200年といわれるカヤ
【66番・雲辺寺】
雲辺寺へはロープウェイで上った。だいぶ暖かくなり、ロープウェイの下の駅の電光表示で気温は12度だった。ロープウェイは定員100人あまりだが、ほぼ満員の盛況。下の駅の前には、「閏(うるう)年は逆打ち参拝」と書かれたのぼりが何本も立っていた。客の多さは、閏年のせいだろうが、こんなに多いのは初めてだ。雲辺寺の横にはスキー場があって、その客も運んでいるので、さらに混み合っている。
上の駅に着くと、気温は12度だった。あまりにも人が多く、参拝の際の混雑を避けるため、まず毘沙門天像の展望台に上って、時間調整をした。展望台からは、隣のスキー場が見える。雪はわずかで、草山の中に帯のように伸びている。帰りのロープウェイでスノーボードを持った人に話しかけ、「雪はたくさんあるのですか?」と聞いてみた。「かき氷ですよ」が答だった。氷を砕いてまいているのだという。
だいぶ時間がたったので、本堂に向かった。ところが、まだ別の団体が般若心経を唱える準備をしていた。そこで、本堂の横の「お頼みナス」へ。ナスの形をした石に腰をおろし、願い事をすると、かなうとの言い伝えがある。1人ひとり座って、思い思いの願い事をした。
人の流れも落ち着き、本堂、大師堂を参拝し、境内の五百羅漢を少し見てから、ロープウェイで下りた。下りてしばらく走ると、気温20度の表示が出ていた。ヒートテックのシャツを着ていたが、熱くなって脱がざるを得なかった。
↑雲辺寺の本堂
↑雲辺寺の横のスキー場
【豊稔池】
今回の遍路旅の最後は観光で、豊稔池を訪ねた。大正末から4年をかけて造った石積み式のダム。この形式では日本最古級らしい。まず上から湖水を眺める。残念ながら水が少なく、湖面と木々の緑の組み合わせの美しさが今回は不足している。堤防のアーチも、最大水深の時の跡が水面上のかなり高い所についている。
次はアーチの下へ。ダムからの水が流れる川があるが、水は流れていない。構造物としての堤防が、黒ずんだ色でそびえている。この眺めは迫力があった。
◆ちょっと歩き四国遍路・のんびり逆打ち第4回の案内◆
2016年4月1日(金)〜2日(土)=3万6800円
65番・三角寺〜60番横峰寺
1日目は標高500メートル三角峰寺、2日目は700メートルの横峰寺と、2つの山の寺に参拝しっます。横峰寺では奥の院「星ヶ森」あmで足を延ばし、好天なら正面なら石鎚山を望むことができます。昼食は初日が焼き肉、2日目はナポリタンと、ほかの遍路ツアーではお目にかかれない食事を用意しました。 問い合わせは毎日新聞旅行06−6346−8800